交通事故による下肢の損傷!後遺障害認定のポイントを弁護士が解説!
交通事故によって下肢(股から足まで)に後遺障害が残ると、日常生活が一変することもあります。
思うように歩けない、痛みが続くなど、身体的な問題だけでなく、精神的な負担も大きいです。
しかし、後遺障害認定を受けるための手続きは複雑で、適切なサポートがなければ正当な補償を得られないケースもあります。
本記事では、下肢の後遺障害がどのような条件で認定されるか、等級の基準や手続きのポイント等について詳しく解説します。
認定のための具体的な対策がわかり、適切な補償を受ける第一歩となるでしょう。
下肢で後遺障害認定される具体例
交通事故によって下肢に後遺障害が残ると、日常生活や仕事に大きな影響がでます。
歩行困難や痛みが続くことで、移動の自由が制限されることもあるでしょう。
下肢の後遺障害には、大きく分けて下記のようなものがあります。
- 欠損障害
- 機能障害
- 変形障害
- 短縮障害・過成長
- 醜状障害
それぞれについて解説していきます。
欠損障害
欠損障害は、脚の一部または全体が失われた状態を指します。場合によっては補装具が必要な状態です。
認定では、切断部位や義足の必要性などが判断基準です。とくに歩行や日常生活への支障が重視されます。心理的な影響も大きいため、心身双方でのサポートが不可欠です。
欠損障害の認定基準と等級は下記の表の通りです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
両下肢をひざ関節以上で失ったもの | 第1級5号 |
両下肢を足関節以上で失ったもの | 第2級4号 |
1下肢のひざ関節以上で失ったもの | 第4級5号 |
両足をリスフラン関節以上で失ったもの | 第4級7号 |
1下肢を足関節以上で失ったもの | 第5級5号 |
1足をリスフラン関節以上で失ったもの | 第7級8号 |
機能障害
麻痺が残ってしまうなど、下肢の関節や筋肉の動きに制限が生じ、膝関節や足関節の運動に支障がでた状態です。
歩行の困難さだけでなく、階段昇降や立ち上がり動作にも影響します。詳しくは後述しますが、医師の可動域測定の結果が後遺障害認定に非常に重要です。
ケガをしなかった健側とケガをした患側を比較して等級が決まります。
機能障害の認定基準と等級は下記の表の通りです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
両下肢の用を全廃したもの | 第1級6号 |
1下肢の用を全廃したもの | 第5級7号 |
1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの | 第6級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 第8級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 第10級11号 |
1下肢の3大関節中の1関節に機能障害を残すもの | 第12級7号 |
変形障害
骨折が適切に治癒しなかった場合、骨の位置がずれたり、屈曲したまま固まったりすることがあります。
歩行時のバランスが崩れ、関節や筋肉に過度な負担がかかることも少なくありません。
見た目の変化に加え、痛みや可動域の制限が生じるケースもあります。重度の場合、手術で矯正を試みることもありますが、完全な回復は難しいことも多いです。
変形障害の認定基準と等級は下記の表の通りです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの | 第7級10号 |
1下肢に偽関節を残すもの | 第8級9号 |
長管骨に変形を残すもの | 第12級8号 |
短縮障害・過成長
骨折や手術などを経て、左右の脚の長さに差が生じる障害です。
短縮の程度が大きい場合、歩行時の姿勢が不自然になり腰痛などの二次障害を引き起こすこともあります。
また、成長期の子どもが骨折した場合、回復に伴って骨折した側の脚が通常よりも長くなってしまう過成長の状態になることもあります。
過成長も、短縮障害に準じて後遺障害認定を受けることが可能です。
短縮障害・過成長の認定基準と等級は下記の表の通りです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
1下肢を5cm以上短縮したもの | 第8級5号 |
1下肢が5cm以上長くなったもの | 第8級相当 |
1下肢を3cm以上短縮したもの | 第10級8号 |
1下肢が3cm以上長くなったもの | 第10級相当 |
1下肢を1cm以上短縮したもの | 第13級8号 |
1下肢が1cm以上長くなったもの | 第13級相当 |
醜状障害
下肢の傷跡や皮膚変形など、外観上の変化が認められる障害です。
火傷や手術痕などが該当します。とくに露出部での変形や大きな瘢痕が対象です。
見た目の問題だけでなく、皮膚の硬直や引きつれによる機能低下が発生する場合もあります。
醜状障害の認定基準と等級は下記の表の通りです。
認定基準 | 等級 |
---|---|
下肢の露出面に手のひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残すもの | 第12級相当 |
下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの | 第14級5号 |
下肢の後遺障害で後遺障害認定を受けるには
後遺障害認定を受けると、損害賠償額に後遺障害慰謝料の加算が可能です。
受けた等級によって金額は異なりますが、数百万円〜数千万円の範囲で、請求できる賠償額が一気に跳ね上がります。
また後遺障害逸失利益といって、後遺障害によって労働能力が低下し、将来的に得られるはずだった収入が減少することに対する補償も請求できます。
後遺障害逸失利益の額もかなり大きいため、後遺障害認定は適正額の損害賠償を受け取るために非常に重要なのです。
後遺障害認定を受ける流れは大まかに下記のとおりです。
- 症状固定まで治療を行う
- 後遺障害診断書を記載してもらう
- 後遺障害認定の申請を行う
それぞれについて解説していきます。
症状固定まで治療を行う
まずは症状固定まで適切な治療を続ける必要があります。症状固定とは、治療による改善が見込めない状態で、医師が判断をします。
早すぎる症状固定の判断は、後遺障害を正確に把握できないこともあるため注意が必要です。回復が見込まれる段階で焦って固定判断をするのは避けるべきです。
まずは医師と定期的に状態を共有し、リハビリや必要な治療を行いましょう。
後遺障害診断書を記載してもらう
症状固定の診断がでたら後遺障害診断書を記載してもらいましょう。
後遺障害認定では、この診断書が重要な証拠です。
医師に診断書を作成してもらう際、自覚症状や生活への支障を具体的に伝えましょう。
可動域や歩行困難などの情報が漏れないよう、医師と十分にコミュニケーションをとることが大切です。
診断書の内容が不十分だと、等級認定が低くなるリスクもあります。
詳しくは後述しますが、正確な記載を依頼することで、認定の成功率はグッと高まりますよ。
後遺障害認定の申請を行う
後遺障害認定の申請は、被害者請求か事前認定の選択が可能です。どちらを選ぶかは状況によりますが、適正な認定を受けるためには、弁護士に相談しながらすすめるのが安心です。
それぞれの請求方法についてかんたんに説明します。
被害者請求
被害者自身が必要な書類を準備し、加害者側の自賠責保険会社に直接申請する方法です。
書類を自分でそろえる手間はありますが、認定結果に納得がいかない場合は異議申し立てができ、適正な補償を受けやすいというメリットがあります。
事前認定
加害者側の任意保険会社が手続きを代行してくれる方法です。
書類準備などの手間がかからない点はメリットですが、保険会社が不利な情報を省く可能性があり、被害者にとって適切な等級認定が受けられないリスクもあるため注意が必要です。
下肢の後遺症障害認定のポイント
認定の流れについて解説してきましたが、ポイントとなるべき事項をおさえていなければ適切な等級を受けられないどころか、最悪のケースでは認定がされないこともあります。
適切に後遺障害認定を受けるためのポイントは下記の3点です。
- 等級ごとの基準を確認しておく
- 画像診断の添付
- 可動域の測定
- 後遺障害診断書への適切な記載
それぞれについて解説していきます。
等級ごとの基準を確認しておく
これまで解説してきた認定基準の理解が、適正な申請につながります。
可動域の制限がある場合、どの角度まで動くかによって認定等級は異なります。
欠損障害や短縮障害も、具体的な基準が設けられているため、基準に沿った診断を受けることが必要です。
医師と相談し、自身の症状がどの等級に該当するのかを把握しましょう。
画像診断の添付
診断書には画像診断の結果も重要です。
X線やMRI画像によって、骨や軟部組織の状態が視覚的に確認できます。
写真データがあることで、障害の存在が客観的に証明されます。
必ず医師に画像の添付を依頼しましょう。
可動域の測定
可動域は、どこまで動かすことが可能かというもので、下肢だけでなく上肢の後遺障害認定でも非常に重視されます。この可動域によって等級はもちろん、認定の有無を左右することもあります。
しかし、可動域の測定は測定する人が慣れていなかったり、測定方法が少しずれてしまったりするだけで結果の数値が大きく変わってしまうために注意が必要です。
可動域測定をいかに適正に実施してもらえるかが、適切な等級で後遺障害認定を受けられるかにつながるといっても過言ではありません。
後遺障害診断書への適切な記載
後遺障害認定にはこの書類が不可欠であることは上述しましたが、どのような内容が記載されているかが大きなポイントです。
たとえば、醜状障害の場合は診断書に「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」という醜状障害特有の書式が2016年より新設されています。こういった各障害特有の書式をしっかりとおさえておくことがポイントです。後遺障害診断書を書く医師が皮膚科などの専門医でなければ、この新書式を知らないケースも十分にありえます。
医師は医療的な診断においては専門家ですが、後遺障害が認定されるポイントをおさえているとは限りません。
後遺障害診断書が適切にポイントをおさえたものになっているか、弁護士などの専門家からのチェックをおすすめします。
後遺障害認定に強い弁護士に相談するメリット
後遺障害認定に申請できたとしても、後遺障害と認定される率は現実高くありません。また事故で心身が傷ついた状態で、申請のための書類を準備する負担は計り知れないものです。
一人で抱え込まず、後遺障害認定に強い弁護士に相談することも有効な手段でしょう。
法律事務所に相談するメリットは下記のとおりです。
- 後遺障害認定の申請をサポートしてもらえる
- 後遺障害認定の可能性が高まる
- 保険会社との交渉を任せられる
それぞれについて解説していきます。
後遺障害認定の申請をサポートしてもらえる
後遺障害認定の等級は、賠償額や補償内容に大きく影響します。
しかし申請には、多くの書類を準備し、正確に記載しなければなりません。
必要書類の不備や記載ミスがあると、認定までの期間が延びることもあります。
弁護士に依頼すると、申請書類作成のサポートを受けられ、手続きをスムーズにすすめられるでしょう。
精神的な負担も減り、治療や生活の再建に集中できます。
後遺障害認定の可能性が高まる
適切な等級を得るには、医師の診断書や証拠書類が的確に作成されている必要があります。
もし、申請が不十分だと、本来より低い等級になったり、認定自体が見送られたりすることもあります。
弁護士に相談することで、診断書の記載内容を適正に整え、不利にならない申請が可能です。一人ですすめるよりも、弁護士と一緒のほうが損害に対する適正な等級認定を受けられるでしょう。
保険会社との交渉を任せられる
保険会社は支払額をおさえるため、被害者に不利な条件を提示することもあります。
そのため、提示額が適正か判断するには専門知識が必要です。
弁護士が介入すると、法律の根拠を示しながら交渉でき、適正な賠償を得られる可能性が高まります。
自分で交渉を行うと、相手のペースに巻き込まれることもあるため、弁護士を味方につけながらすすめることで、何かあっても適切に解決を図りながら請求を行えます。
下肢の後遺障害認定はまずは弁護士に相談を!
本記事では下肢の後遺障害認定について、認定のポイントをおさえることの重要性等について解説してきました。
交通事故で下肢に後遺障害が残ると、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。適正な認定を受けるために、以下の点をおさえましょう。
- 後遺障害の種類を理解する(欠損障害・機能障害・変形障害・短縮障害・醜状障害)
- 等級ごとの基準を確認し、適切な申請を行う
- 画像診断の添付や診断書の詳細な記載が重要
認定を受けるには、まず症状固定後に後遺障害診断書を取得し、申請が必要です。
不備があると、適正な等級が認定されない可能性もあります。
後遺障害認定の手続きは複雑で、保険会社との交渉も必要になることがあります。
弁護士に相談すれば、申請のサポートや適正な賠償金の獲得が期待できますよ。初回相談は無料なこともあるのでぜひ検討してみてください。!


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