高次脳機能障害で請求できる損害とはなにか

高次脳機能障害とは、脳の機能の中でも「高次脳機能」という部分が上手く働かなくなることです。

高次脳機能とは、物事を考えたり、記憶したりする力をつかさどり、人格を形成するために必要な機能です。

病気や交通事故によって脳に大きなダメージを受けると、「高次脳機能」が正常に働かなくなることがあります。これが、高次脳機能障害です。

人間は社会を築いて共同生活をする生き物ですので、高次脳機能障害は、その人の日常生活に大きな影響を与えます。

一方、高次脳機能障害は、外見から障害の有無がわかりづらく、程度の判定も難しいのが特徴です。

そのため、後遺障害の等級認定がされにくいという問題があります。

当事務所では、交通事故をきっかけに高次脳機能障害になられた方へのサポートをしております。

この記事では、高次脳機能障害になった場合、どのような損害賠償を請求できるかについて説明します。

高次脳機能障害がどのようなものかについて知りたい方は、こちらの記事「高次機能障害にお悩みの方へ」も参考になさってください。

賠償を決定する際の3つの基準

他の交通事故の案件でもそうなのですが、高次脳機能障害における損害賠償額は、3つの基準のいずれかを選んで算出します。

どの基準を使って賠償額を算出するかによって、受け取れる額面が大きく異なります。

下記の画像をご覧ください。

損害賠償の計算方法

1 自賠責保険の基準

必要最低限の補償を定めた基準です。そのため、3つの基準の中でも最も低い金額です。

2 任意保険基準

各任意保険会社が定めた基準です。事故の相手方が任意保険に加入していた場合は、この基準に則って計算された金額が提示されることが多いです。

基準は企業ごとに異なります。

3 裁判(弁護士)基準

弁護士が当事者の代理人として任意保険会社と交渉する際に使用する計算基準です。3つの基準の中でも最も額面が大きいことが特徴です。

一般的に、事故の相手方が任意保険に加入していた場合、保険会社は自社基準の賠償額を提示してきます。

ときには、「貴方様の場合は、弊社基準より○○万円増額して賠償額をお支払いします」と案内されることもあります。

このような案内をされると、通常よりも多く支払ってもらえて良かった、と思ってしまいがちです。しかし、実は提示された額は裁判基準と比べると大幅に低かった、というのもよくある話です。

高次脳機能障害は、その方の日常生活に大きな負担を与えます。場合によっては、ご家族の生活にも影響を与えます。

できるだけまとまった適正額を受け取るためにも、裁判基準を使って交渉ができる弁護士への依頼をおすすめします。

高次脳機能障害の特有の賠償項目

高次脳機能障害のケース特有の賠償項目として、

・後遺障害慰謝料/近親者慰謝料

・後遺障害逸失利益

・自宅改装費

・将来介護費

などがあげられます。この他にも、器具や装具の購入費用や、将来かかるであろう雑費も請求できる可能性があります。

今回は、上記の4つについてそれぞれ説明します。

後遺障害慰謝料/近親者慰謝料

高次脳機能障害による後遺障害(事故などによって傷病を受け、治療が終わっても以前の状態にまで回復せず不具合として症状が残ること)が認められると、後遺障害慰謝料が損害として発生します。

慰謝料の額面は、高次脳機能障害の程度に応じて変化しますが、その程度をはかるために6段階の後遺障害等級が認められています。

それぞれの等級の内容と、応じた裁判基準の金額について記載します。

1級1号

内容:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

保険金額目安:2,800万円

2級1号

内容:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

保険金額目安:2,370万円

3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

保険金額目安:1,990万円

5級2号

内容:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

保険金額目安:1,400万円

7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

保険金額目安:1,000万円

9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

保険金額目安:690万円

金額についてはあくまで目安ですので、正確な数字ではありませんが、今後の手続きの指標になるかと思います。

また、高次脳機能障害の場合、本人だけでなく、本人のサポートをする家族にも大きな影響があります。その場合、サポートをする家族にも慰謝料が認められることがあります。この慰謝料のことを近親者慰謝料と言います。

近親者慰謝料については、被害者本人の家族構成や生活状況の変化などを考慮して金額が決められます。

弁護士が入らない案件においては、任意保険会社が近親者慰謝料について提示する事例は極めて少ないです。

後遺障害逸失利益

逸失利益とは、障害が残ったことにより、将来的に収入が減ったり得られなったりすることに対する補償をするものです。

基本的には、後遺障害逸失利益は下記の計算式を使って求めます。

基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対するライプニッツ係数

ライプニッツ係数とは損害賠償額を計算する上に必要な指数のことです。いわゆる中間利息と呼ばれるものを控除するための指数として使われます。

また基礎収入については、事故に遭う以前に実際に受け取っていた収入をもとに計算するのが一般的です。

学生や専業主婦(主夫)の場合は、賃金センサスを活用して計算します。

労働能力喪失率は、後遺障害の程度によって、以前からどれほど労働能力を失ったかを考慮して決定されます。

基本的には、その方の体の状況を個別に判断するのですが、認定された各等級によって目安となる数字が下記の通り定められています。

1級1号

労働能力喪失率:100%

2級1号

労働能力喪失率:100%

3級3号

労働能力喪失率:100%

5級2号

労働能力喪失率:79%

7級4号

労働能力喪失率:56%

9級10号

労働能力喪失率:35%

労働能力喪失期間については、原則として就労が可能だと考えられている67歳から、症状固定した年齢を差し引いて計算します。例えば、50歳で症状固定をした方であれば、労働能力喪失期間は67-50=17年となります。

自宅改装費

高次脳機能障害の程度によっては、日常生活に支障が出るため自宅を改装する必要があることもあります。

例えば、手すりを取り付けたり、段差を取り払ったりとバリアフリー化する例があります。

後遺障害が重篤であると認められた場合はこのような自宅改装費も請求できる可能性があります。

自宅だけでなく、車いすの購入や車の購入費用といった項目でも補償されることがあります。

将来介護費

高次脳機能障害による後遺障害の等級認定基準には、「介護を要するもの」といった文言が含まれています。

このように、重度な高次脳機能障害の場合、将来的な介護費用の補償が必要となります。

将来介護費用の計算は、介護を家族でするのか、介護施設を利用するのかで変わってきます。

家族が介護をする場合には、1日あたり8,000円程度が費用の目安とされていますが、その方のケースごとに具体的な額は異なります。

他方で介護施設を利用する場合は、実際にかかる費用から補償額を算出します。

将来介護費は、本人が少しでも負担を減らして生きていくことだけでなく、介護などでささえる家族の負担を減らすために非常に必要なものです。

弁護士にご相談いただければ、依頼者様の利益を最優先に交渉いたしますので、ぜひご相談ください。

高次脳機能障害でお悩みの方は弁護士法人iにご相談ください

ここまで高次脳機能障害で受け取ることができる特有の補償項目についてお話してきました。

本来であれば、これらの項目について受け取れるはずだった事故被害者様が、任意保険会社から十分な説明をされずにいくつかの項目を受け取れなかった、というのはよくあるケースです。

受け取れたとしても、自賠責保険基準や、任意保険会社基準で算出されたもので、裁判基準と比べると大きな差があることもあります。

専門知識と解決実績が豊富な弁護士にご相談いただければ、依頼者様とご家族の利益を最優先に、相手方と交渉をいたします。

弊所には、交通事故の解決実績豊富な弁護士が所属しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

弊所で解決した事例

解決事例129 男性(24歳) ・後遺障害等級認定5級:高次脳機能障害で後遺障害5級が認められ、6,500万円で示談した事例

解決事例99 女性(33歳) ・後遺障害等級認定3級3号:高次脳機能障害が残存した被害者の損害

女性(20歳)・高次脳機能障害7級4号:外傷性てんかんに関する事例

男性(42歳) ・後遺障害等級認定併合6級:自営業者の基礎収入の算定が課題になった高次脳機能障害の事例

高次脳機能障害、外貌醜状・後遺障害等級9級10号(高次脳機能障害)、12級14号(外貌醜状):加害者の悪質さ程度と怪我の大きさの程度が慰謝料等に考慮された事例

 

相談料着手金0円 お気軽にお電話ください。 TEL:0120-115-456 受付時間 平日10:00~19:00 土曜日相談実施 弁護士法人i 奈良法律事務所(奈良弁護士会)

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当事務所の解決事例

当事務所が交通事故の対応で選ばれる理由

  1. 1 事故直後から相談をお受けし、ご相談を解消いたします。
  2. 2 適正な後遺障害認定を獲得します。
  3. 3 費用・処理方針を説明した上で、早期解決を目指します。
  4. 4 相談者様の要望を第一に、適正な損害賠償金の獲得を目指します。
  5. 5 専門家集団によるバックアップで相談者様をトータルサポートします。

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