交通事故マニュアル:人的損害

自営業者の収入

(1)総論 問題となる場面

自営業者の収入は、症状固定前なら休業損害、固定後には後遺障害逸失利益(後遺障害による将来の減収分)の算定に関して、問題となります。

 

休業損害=基礎収入×実通院日数×A%

後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率(後遺障害等級で決まる)×中間利息控除を加味した労働能力喪失期間

 

(2)基礎収入の考え方

①基本
基本的には前年度確定申告の額/365=基礎収入(日額)。
前年度のみにとどまらず事故前3年度の平均などでもよいです。

 

②確定申告書の見方
・取得すべき書類
青色申告の場合 「確定申告書B」と「青色申告決算書※」
白色申告の場合 「確定申告書B」と「収支内訳書※」

 

※確定申告を白色申告で行う際には、確定申告書Bとともに収支内訳書を提出します。 白色申告の収支内訳書は、青色申告では青色申告決算書にあたります。 確定申告を行う年の1月1日から12月31日までの1年間の売上や仕入れ、経費、家族の人件費などをまとめ、確定申告書Bを作成するために所得を計算するものです。

●まずは、「確定申告書B」について
所得金額の事業収入をみます。これは営業等or農業に分かれています。
基本的にここの数字が経費などを抜いたその年度の利益です。

 

●固定経費等の算入(「青色申告決算書」または「収支内訳書」をみます)
固定経費は、仕事の再開の余地がある限り出費の必要がありますし、休業中でも生じてしまうものなので、この経費をかけているのに仕事できなかった分は損害に算入することができます。⇒前年度収入に含められます。
固定経費の代表的なもの、:租税公課、損害保険料、減価償却費、地代家賃、人件費、諸会費、リース料等です。

 

また、青色申告の場合は固定経費とは別に青色申告特別控除額(65万円)が収入から引かれているので、この額も前年度収入に含められます。

 

●計算例
確定申告書Bに「営業収入300万円」とある場合、これは経費等を抜いたものであります。「青色申告決算書」または「収支内訳書」で経費をみて、固定経費に減価償却費90万円とあれば、基礎収入算定の基礎となる前年度収入は、390万円です。青色申告者であれば、ここに青色申告特別控除の65万円も加えて算定基礎となる収入額は455万円である。

 

※後遺障害の場合
将来の減収の損害ということに鑑みて、若年者、若手自営業者などの場合に、賃金センサスなどを利用して将来の収入(算定の基礎となる収入)を算定することも考えられます。

特別な事情なので立証のハードルはあります。
少なくとも、賃金センサスを超えるだけの年収を確保できる蓋然性の立証、現在の収入よりも大幅に成長する蓋然性の立証などが必要です。

(3)確定申告していない場合、確定申告額が実際よりもかなり低い場合

実収入を立証するか、賃金センサス以上の収入得られている蓋然性を立証して、事故前の収入額を主張します。
帳簿類、請求書、領収書、通帳、計算書、家計簿等を参考にします。

 

休業損害の計算・後遺障害逸失利益の計算に関するその他の論点

休業損害の計算に関するその他の論定

●減収の要件
「現実の減収があったこと」が要件です。適切な資料を提示して示談交渉します。

 

●実通院日数(または通院期間)×A%の問題
ここは結局、どの期間どの程度仕事が出来なかったかということであります。
定型はないところですが、基本的な考えとして上記のような計算式となるかと思います。
例えば骨折などでは、通院した日以外も仕事できないことは考えられ、むち打ちでは、通院した日(時間)以外は仕事が出来ていることも考えられます。

後遺障害逸失利益の計算に関するその他の論点

●基礎収入
上記のように後遺障害の場合は、賃金センサスの利用も考えられます。

 

●労働能力喪失率
後遺障害等級ごとの喪失率を参考に、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況などを総合的に判断して具体的に判断します。

 

●労働能力喪失期間
① 始期は症状固定日、ただし18歳か大学卒業を前提とする場合は大学卒業時以降となります。

② 喪失期間の終期は67歳
67歳以上の者は平均余命(赤本簡易生命表参照)までの年数の2分の1。
ただし、症状固定から67歳までの年数が、平均余命の2分の1より短くなる者は原則として平均余命の2分の1となります。

③むちうちの後遺症については期間の目安(限度)があります。
12級 10年程度
14級 5年程度

⇒年数出したうえで、中間利息控除をします。
例)5年→4.3295で計算。

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