過失割合に納得できない

過失相殺とは

交通事故に遭ってしまった場合、自分に事故に対する過失があれば、加害者または加害者の任意保険の会社に賠償してもらえる金額が減額されてしまいます。これを過失相殺といいます。(注 加害者の自賠責保険の会社に請求する場合には、重過失がない限り、過失は考慮されません。)

この場合、加害者とは、過失割合の高いほうではなく、「事故の相手方」をイメージしていただければ良いと思います。 というのも、自分に過失が6割あった場合でも、相手方のことを一般的に「加害者」と呼ぶことがあるからです。

一般に、歩行者より自転車、自転車より自動車、普通自動車より大型車のほうが、過失割合が高くなります。 というのも、後者のほうが事故を起こした場合の被害が大きくなるため、運転にあたって要求される注意義務のレベルが高いとされるからです。 仮に、事故に遭った方の総損害額が100万円とした場合、過失が2割あるとすれば、加害者から賠償してもらえる額は2割引きの80万円ということになります。

過失相殺の具体例

 (1)よくあるタイプの事故のうち、赤信号で停車中に後ろから追突されたという態様があります。この場合は停車中の運転者に過失はありませんから、過失相殺がなされることはありません。 また、信号のある交差点で、青信号のため直進したところ赤信号無視の直進車とぶつかったような場合も、当然ぶつけられた側に過失はありません。

 

 (2) 信号のない交差点で直進車同士が衝突した場合はどうでしょうか。 
この場合、道路交通法上左方の通行が優先されますので、原則として、左方車が4割、右方車が6割の過失割合になります。 

 (3) 夜に酔っぱらって路上に寝ている人をはねてしまった場合はどうでしょうか。ひかれた人にとっては「それでも運転しているなら気をつけてくれよ」ということになりますし、ひいた運転車にとっては「そんなの想定して運転するのは難しいよ」ということになるでしょう。この場合、路上で寝ている人と車の運転者の過失割合は原則としてちょうど5:5となります。

過失割合の決まり方

交通事故の態様は千差万別であり、過失割合も一律に決まるわけではありませんが、実務上、典型的な事故態様については、類型化された過失割合の基準が本になっています。これは、裁判所でなされた判断を類型化したもので、裁判官、弁護士をはじめ、保険会社の担当者なども参照しています。

この本は最近改訂されたのですが、自転車が歩行者をはねる事故が最近増えていることに鑑み、これまでにはない類型である「歩行者と自転車の事故」という項目が加わりました。

判例タイムズ社は発行している「別冊判例タイムズ38」という本です。大きな本屋ならあると思いますので、興味のある方は読んでみても面白いかもしれません。実際の過失割合は、上で述べた典型的な事故態様ごとの基本的過失割合をもとにして、事故現場が「幹線道路」かどうか、「歩行者が児童・高齢者」かどうか、事故発生時間が「夜間」かどうかなどの事情の有無により調整がなされます。たとえば、上に挙げた酔っぱらいをひいた場合でも、事故現場が幹線道路である場合は、路上で寝ている人の過失割合が1割から2割増えるのです。

過失ある場合の実際上の不利益

通常であれば、交通事故で怪我をした場合、加害者の保険会社に治療費を随時払ってもらえます。しかし、過失がある程度ある場合は、払ってもらえないことがあります。というのも、過失相殺がなされる場合、治療費も過失割合に応じて減額した金額しか払ってもらえなくなりますので、過失割合がある程度ある場合でも保険会社が治療費を随時全額払うとなれば、後で慰謝料などで調整するとしても(保険会社が)払い過ぎになってしまう可能性があるからです。運転中、常に万全の注意を払い続けるのは難しいですが、万一のときに過失相殺されないよう、教習所時代を思い出して適法運転を心がけたいものです。

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