死亡事故で請求できる損害とはなにか
交通事故の発生件数は年々減少傾向にあるとはいえ、2022年では、2,610人の方が交通事故によって亡くなられています(警察庁公表の年報データより)。
遺族の方は、ただでさえ突然家族を失った悲しみと向き合わなくてはなりません。
それだけでなく、間髪入れずに交通事故の手続きや示談交渉に追われることとなり、心身ともに大きな負担がかかります。
将来的な不安を感じられる方も多いのですが、そのような状況を少しでも改善するため、適切な損害賠償金を受け取ることは非常に重要です。
本記事では、交通死亡事故が起こった場合に遺族が請求できる損害賠償の項目について説明します。
死亡事故の場合に請求すべき主な損害
死亡事故が起こった場合に遺族が請求すべき損害賠償の項目としては、主に
・死亡慰謝料
・死亡にともなう逸失利益
・葬儀費用
の3つがあります。この3つは死亡事故のケースでのみ請求できる項目です。
損害賠償請求を行うにあたって理解しておくべき事項が、「損害額の計算基準が3つあり、どれを採用するかによって遺族が受け取れる額が変わる」
という事実です。
下記の画像をご覧ください。
1 自賠責保険の基準
国が必要最低限の補償を定めた基準であるため、3つの中で最も低い金額となります。
2 任意保険基準
任意保険会社が各社で定めた基準です。事故加害者が任意保険に加入していた場合は、この基準に則った金額が提示されることが多いです。
3 裁判(弁護士)基準
弁護士が任意保険会社と交渉する際に使用する基準です。3つの基準の中で最も額面が大きく、裁判になった場合この基準をもとに損害額が算出されます。
任意保険会社はあくまで営利企業ですので、自社が支払う損害賠償金をできるだけ少なくしようとします。よって、1の自賠責保険の基準や2の任意保険基準を元に算出した額を提示してくる可能性があります。
しかし、弁護士があなたの代理人になれば、より高い金額である裁判基準で算出した額を依頼者が受け取れるよう交渉いたします。
より大きく、適切な額を遺族が受け取れるのが、弁護士に死亡事故解決を依頼するメリットとなります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料には、亡くなった被害者本人に対する慰謝料と、遺族に対する慰謝料の2つが発生します。
近親者固有の慰謝料を請求できるのは、
・両親(養父母を含む)
・配偶者
・子
です。
自賠責基準の場合
自賠責基準の場合、被害者本人に対する慰謝料は400万円と定められています。
また、近親者固有の慰謝料は、請求する人数によって金額が異なります。たとえば、1名の場合は550万円、2名だと650万円、3名以上だと750万円です。
ただし、自賠責保険から支払われる慰謝料には上限額があります。被害者一人あたりの死亡慰謝料、逸失利益、葬儀費すべての合計3000万円が上限です。
裁判基準の場合
裁判の実務においては、死亡慰謝料は被害者本人に対するものと遺族に対するものを合算して取り扱います。
また、被害者が家庭内でどのような立ち位置だったかによって、慰謝料額が変動します。
被害者が一家の支柱の場合:2,800万円程度
母親・配偶者の場合:2,400万円程度
そのほか:2,000万円~2,200万円程度
死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、「事故で亡くなっていなければ本来得ていたであろう収入や利益」を失ったことによる損害のことを言います。
この死亡逸失利益は、給与所得者だけでなく家事従事者(専業主婦や専業主夫)にも認められます。高齢者の場合、年金が収入として認められます。
死亡逸失利益は、下記の計算式で求められます。
死亡逸失利益=基礎収入×生活費控除(1-生活費控除率)×就労可能な年数のライプニッツ係数
生活費控除率とは、収入のうち生活費が占める割合のことを指します。
配偶者がいるのか、年齢はいくつかなど、被害者の状況によって30~50%の間で数字が変動します。
また、被害者が将来何年かに渡って受け取るはずだった金額を「一括」で受け取るのが、逸失利益です。
そのため、本来被害者が受け取れる金額が前倒しで支払われることになり、本来収入が発生するまでの期間における利息分が発生します。
結果、遺族はその利息分だけ多く逸失利益を受け取ることになります。
ライプニッツ係数とはこの増額分、いわゆる中間利息を控除するための指数です。
このように、逸失利益において、被害者の立場や所属によって、細かな計算式の変動があります。
不慣れな方がほとんどかと思いますので、弁護士など専門家へのご相談をおすすめいたします。
葬儀費用
葬儀費用の項目では、通夜や葬儀、火葬、墓石にかかった費用を請求できます。
葬儀費用も、自賠責基準で算出するか、裁判基準で算出するかによって、金額が異なります。
自賠責基準の場合
自賠責基準では、葬儀費用は一律100万円が支払われます。
ただし、こちらには墓地の購入費用や永代供養の費用、香典返しなどは含まれませんのでご注意ください。
裁判基準の場合
裁判基準の場合は、原則上限150万円となっています。が、これ以上多くかかったことが証明でき、かつその出費が妥当だと判断できる場合には、上限を超えて支払いが認められることもあります。
150万円以下の金額で葬儀費用がまかなえた場合は、実際にかかった費用の請求が認められます。
交通事故専門の弁護士へのご相談をおすすめします
ここまでご説明しました通り、死亡事故には特有の損害賠償項目があります。一般的な交通事故よりも手続きが複雑になる上、賠償額の算出基準によっては受け取れる額が大きく変化します。
弁護士にご依頼いただければ、遺族の方の利益が少しでも大きくなるよう交渉いたします。
煩雑な手続きも弁護士が代理で行いますので、心身双方の負担を軽減できます。
弊所には交通事故の解決実績の豊富な弁護士が在籍しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
弊所で取り扱った事例
男性(4歳)・死亡事故:当初の提示額から1,000万円増加した事例
解決事例161 男性(77歳) ・訴訟手続で適正な賠償額を獲得した事案
当事務所の解決事例
当事務所が交通事故の対応で選ばれる理由
- 事故直後から相談をお受けし、ご相談を解消いたします。
- 適正な後遺障害認定を獲得します。
- 費用・処理方針を説明した上で、早期解決を目指します。
- 相談者様の要望を第一に、適正な損害賠償金の獲得を目指します。
- 専門家集団によるバックアップで相談者様をトータルサポートします。
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