交差点における交通事故の過失割合とは?基本の考え方や相談先を解説
交差点は道路が交わる場所のため、直進車と右左折車、あるいは直進車同士など動いている車両同士の交通事故が非常に発生しやすいことで知られています。では、交差点で事故が発生した場合「過失割合」はどのように決めるのでしょうか。
過失割合は車両の種類や道路の幅、事故時の信号機の色などさまざまな要素を踏まえて決定しており、受け取れる賠償金の額を大きく左右する重要な要素です。そこで本記事では、交差点における交通事故の過失割合について、基本的な考え方からよくある質問、相談先までわかりやすく解説します。
交差点における交通事故の過失割合|基本の考え方とは
交差点内での事故にはいろんな事例がありますが、効率よく過失割合を判断するために一定の要素が用いられています。例として、走行していた車両が従っていた信号機の色や信号機の有無、道路標識や道路幅があり、どちらが優先されるべきだったかを判断した上で過失割合を導きます。本章では交差点内でよくある交通事故の事例を基に、過失割合の考え方を解説します。
信号機のある交差点での過失割合
・信号機のある交差点での事故事例と過失割合の事例では、赤信号対青信号の衝突事故が多発しています。この事例では、赤信号を無視して直進した側に過失があるため、このケースでは青信号側に過失はなく「赤信号側:青信号側で100:0」なります。
・信号機がある交差点で、青信号同士の直進車と右折車による衝突もよくある交通事故の事例です。直進車が優先されるため右折車の過失が大きくなります。(道路交通法37条)しかし、直進車側にも注意義務はあるため、過失割合は「直進車側:右折車で20:80」が目安となります。
なお、実際には速度超過や信号の変わり目であるなどの要素も加味されるため、上記はあくまでも目安です。
信号機がなく見通しが悪い交差点での過失割合
信号機がなく、見通しが悪い交差点での事故は、道幅が過失割合を決める際の重要な要素となります。なお、以下の事例はあくまでも基本的な過失割合であり、実際にはさまざまな要素を踏まえて判断します。
・同じ程度の道幅の道路が交わる交差点で、直進車同士が衝突した場合
このケースでは道路交通法36条1項1号により、左側を進行する車両が優先されます。つまり、右側から交差点へ侵入した車両の過失が大きくなり「右方車:左方車で60:40」となります。
・一方の道幅が広い道路が交わる交差点で、直進車同士が衝突した場合
このケースでは道路幅が広い側を走行していた車両が優先されます。ただし、優先道路側の車両も注意義務を怠ったため交差点内で衝突していると考えられるため、過失は発生します。「道幅が広い側:道幅が狭い側で30:70」です。
・一方の道路に一時停止線がある信号機がない交差点で直進車同士が衝突した場合
信号機がない道路でも、一方の道路側に一時停止線がある場合は、一時停止を怠った側の過失が大きくなります。(道路交通法43条)ただし、一時停止線がない道路側を通行していた車両にも、注意義務を怠った過失は生じます。過失割合は「一時停止線あり:一時停止線なしで80:20」です。
・一方が優先道路である交差点内で直進車同士が衝突した場合
信号機がない場合でも、一方が道路標識などによって定められている優先道路の場合は、優先道路ではない道路を直進していた車両の過失が大きくなります。ただし、優先道路側であっても注意義務はあるため(道路交通法36条4項)、過失はゼロではなく「優先道路側:優先道路以外側で10:90」の過失割合とされます。
過失割合の決め方と補償への影響とは
なぜ交通事故においては、過失割合をどのように議論しているのでしょうか。また、決定した過失割合はどのように補償へ影響しているのでしょうか。本章では過失割合の決め方と補償への影響についてわかりやすく解説します。
過失割合の決め方
実際の事故における過失割合は、事故の当事者双方が加入している自動車保険会社(任意保険)同士の交渉によって決めることが一般的です。保険会社の担当者は、事故状況を確認したうえで、裁判例をまとめた資料(「別冊判例タイムズ」に掲載されている基準)を参考にしながら、基本的な過失割合に修正要素を加味して割合を提示します。
ただし保険会社が提示する割合は、必ずしも事故の実態を正確に反映しているとは限りません。ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言、実況見分調書といった客観的な証拠をもとに、実際の事故状況を丁寧に検証することが欠かせません。保険会社同士で交渉した上で、事故当事者本人が示談に同意するか決めるものの、同意できなかった場合は調停やADR(裁判外紛争解決手続)、訴訟によって過失割合を決定します。
事故当事者が得る賠償金額への影響
過失割合は最終的に事故の当事者が受け取れる「賠償金額」に直結します。日本の損害賠償実務では「過失相殺」という考え方が採用されており、自分の過失割合に応じて、受け取れる賠償金額が減額される仕組みです。
たとえば、損害額が総額500万円で、自分の過失割合が20%と認定された場合、受け取れる賠償金は500万円から20%分(100万円)が差し引かれた400万円です。過失割合がわずか10%変わるだけでも、賠償金額に数十万円から数百万円単位の差が生じることも珍しくありません。
さらに注意すべき点として、過失相殺は治療費や慰謝料、休業損害、逸失利益、車両の修理費用など、賠償の対象となるあらゆる損害項目に対して一律に適用されます。損害総額が大きくなるほど、過失割合の違いが最終的な賠償金額に与える影響も比例して大きくなるため、後遺障害が残るような重大事故や、車両の損害額が高額になるケースでは、とりわけ慎重な検討が求められます。
人身傷害保険は過失割合に影響されない
交差点内における車両同士の交通事故では、双方に過失割合が発生することが多く、賠償額が過失相殺されます。例えば、自分に3割の過失がある場合、相手方の対人賠償保険からは損害額の7割しか補償されません。
しかし、ご自身が加入している自動車保険に「人身傷害保険」が付帯されている場合、過失割合に左右されることなく保険金を受け取ることができます。自分に重い過失がある場合でも支払われる補償です。
さらに、過失割合の決定を待たずに保険金が支払われます。また、人身傷害保険の利用のみなら等級はダウンしません。(ただし、相手方への支払いや車両保険の利用がある場合は翌年等級はダウンします)
過失割合に納得がいかなかったらどうする?
保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合、安易に示談をしないことが重要です。一度示談が成立すると、原則としてあとから覆すことは非常に困難になります。納得がいかない場合は、以下が検討できます。
・事故現場の写真やドライブレコーダーの映像など、客観的な証拠を改めて確認・収集する
・警察が作成した実況見分調書を取り寄せ、事故状況を客観的に検証する
・弁護士など専門家に相談し、過去の裁判例に照らして提示された割合が妥当かを確認してもらう
また、交通事故紛争処理センターなどの第三者機関によるあっせん・審査を利用することも考えられます。詳しい相談先については後述します。
交差点における事故でよくある質問
交差点内はご自身の不注意だけではなく、巻き込まれるような形で交通事故に遭ってしまうことも多い場所です。そこで、本章では交差点内の交通事故におけるよくある質問にお答えします。
過失割合と過失相殺の違いを教えてください
過失割合とは、事故の発生原因について当事者双方の落ち度を数値化したものを指します。過失相殺とは過失割合を踏まえて「賠償額を相殺すること」を指します。
つまり、過失割合は「原因の評価」、過失相殺は「賠償額への反映」という関係にあり、過失割合が決まった結果として過失相殺が行われる、という流れです。
交差点内で右折車同士がぶつかったらどうなる?
対向方向から進入した右折車同士が交差点内で衝突した場合、双方の道路幅が同じの場合は「左方車優先」の原則に基づいて「60:40」が採用されます。しかし、一方の通行する道路が優先道路だった場合は、優先道路者側の過失がさらに低くなり「70:30」が基本の過失割合となります。
実際には、右折禁止違反や一時停止規制を無視している場合や、どちらかの車両に著しい過失があった場合などは修正要素となるため、基本の過失割合は変動します。
新車にもらい事故を起こされました、新車で戻りますか?
購入して間もない新車が「もらい事故」(自分に過失がない事故)で損傷した場合であっても、原則として賠償されるのは修理費用や、時価額を基準とした損害額であり、残念ながら新車そのものに交換されるわけではありません。ただし、「評価損(格落ち損)」が新車特有の事情として認められ、補償が得られるケースもあります。
新車の損傷については、通常の中古車以上に評価損の主張が認められやすい傾向にあり、修理歴や損傷部位を証拠として残し、保険会社との交渉や弁護士への相談を通じて、適正な賠償を求めることが重要です。
交差点における交通事故に悩んだらどこに相談できる?
交差点の事故は状況が複雑になりやすく、当事者だけで過失割合を判断するのは難しい場合があります。以下のような相談先を状況に応じて活用しましょう。
自身が加入する自動車保険の担当者
ご自身が契約している任意保険会社の担当者は相手方保険会社との示談交渉を代行してくれるため、補償内容や事故の賠償に関する相談が可能です。ただし、保険会社はあくまで自社の支払額を適正な範囲に抑える立場にあるため、提示内容がすべて被害者にとって最善とは限らない点に留意が必要です。
日弁連交通事故相談センター
日本弁護士連合会が運営しており、弁護士が直接交通事故の相談を受付する「日弁連交通事故相談センター」もあります。相談費用は無料です。
全国各地に相談所が設置されており、弁護士による無料相談以外にも示談あっせんや審査といった紛争解決手続きも利用できます。
・受付 平日10時~19時
・日弁連交通事故相談センター 0120-078325
詳しいご利用については以下リンクよりご確認ください。
参考URL 日弁連交通事故相談センター
公益財団法人 交通事故紛争処理センター
公益財団法人 交通事故紛争処理センターは、無料で交通事故に関する法律相談やあっせん、審査手続きを行う専門機関です。中立的な立場から和解のあっせんを行ってくれるため、当事者同士の交渉が難航している場合に利用を検討できます。初回は電話による対応も可能です。
参考URL 公益財団法人 交通事故紛争処理センター
交通事故相談所
都道府県や市区町村が設置している交通事故相談所でも、専門の相談員による無料相談を受けることができます。基本的な法律知識や手続きの流れについてアドバイスを受けたい場合の入口としてのご利用がおすすめです。
そんぽADRセンター
一般社団法人日本損害保険協会が運営するそんぽADRセンターでは、保険会社との間で生じた保険金の支払いなどに関するトラブルについて、裁判外での解決(ADR)を図るための相談・苦情対応を行っています。保険会社の対応そのものに疑問がある場合の相談先として利用できます。
参考URL 一般社団法人 日本損害保険協会 相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)
弁護士
過失割合について保険会社と見解が対立している場合や、損害賠償額そのものが大きい場合には、早期に弁護士へ相談することがおすすめです。弁護士に依頼することで、裁判例に基づいた適正な過失割合の主張ができるほか、慰謝料の算定基準についても、保険会社基準より高額になりやすい弁護士基準(裁判基準)での交渉が可能になります。
また、弁護士に依頼することで、相手方保険会社とのやり取りをすべて任せられるため、治療に専念しながら手続きを進められるメリットもあります。交渉がまとまらず訴訟に発展した場合でも、そのまま代理人として対応を継続してもらうことも可能です。
自身やご家族(※)が加入する自動車保険に弁護士費用特約が付帯している場合、多くのケースで自己負担なく(一般的に1事故、被害者1名につき300万円まで)弁護士に依頼することができます。特約の有無は保険証券や保険会社への確認で分かるため、弁護士に相談する前に一度確認しておくとよいでしょう。
(※)利用できる方については、自動車保険の契約者本人や契約者の配偶者、契約者の同居の家族(6親等内の血族・3親等内の姻族)、別居の未婚の子に限られることが一般的です。
まとめ
交差点における交通事故の過失割合は、信号の有無や色、道路幅など、さまざまな要素によって細かく分類されており、事故態様によって基本となる割合が大きく異なります。
過失割合は賠償金額に直結する重要な要素であるため、保険会社から提示された内容にすぐに合意するのではなく、丁寧に検討することが大切です。過失割合に疑問や不安がある場合は、一人で抱え込まずに交通事故に精通する弁護士へご相談ください。過失割合はもちろんのこと、示談交渉や後遺障害等級認定、賠償金に関するお悩みにも対応しています。
この記事の監修者

弁護士法人i 代表弁護士
黒田 充宏
開業以来、地元市民の皆様から交通事故に関する多数の相談を受けて参りましたが、残念なのは簡単なアドバイスで解決できることにもかかわらず、ずっと一人で悩んでおられる方が多数いらっしゃるということです。相談後に「誰にも話せずに悩んでいたけれども、もっと早く相談に来ればよかった」と仰る依頼者の方が意外と多いものです。特に交通事故に関するご相談では、「もう少し早く相談してくれれば、適切なアドバイスができたのに」と思うことが多々あります。交通事故の法的トラブルについては、時機を失うと大きな損失につながる可能性があります。「こんなことで相談してもよいのかな」と心配する必要はありません。当事務所では、経験豊富な弁護士がいつでもお待ちしております。身近な町医者として、今後とも精進する所存ですので、困ったときにはいつでもご相談ください。
当事務所の解決事例
当事務所が交通事故の対応で選ばれる理由
事故直後から相談をお受けし、ご相談を解消いたします。
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費用・処理方針を説明した上で、早期解決を目指します。
相談者様の要望を第一に、適正な損害賠償金の獲得を目指します。
専門家集団によるバックアップで相談者様をトータルサポートします。
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